英雄の幼馴染は、少年の恰好ぱかりしているらしい。

 あの少女に、それなりの格好をさせてみたいものだ、とこぼした者もいた。最近十六歳になった英雄の幼馴染は、可愛らしさの中に、不思議と線の細い美麗さも感じさせるようになって来たらしい。

 ふと見せる表情には品が窺えて、もしかしたら将来は、精霊族のような美しい女性になるのかもしれない、とうっとり思い返す者もいた。全体的に華奢で、どこもかしこも細い少女だから、どんなドレスも着こなしてしまうだろう、と……


 ――後日、そうこぼした男達が全治一ヶ月の怪我を負って療養休暇を取ったが、黙秘を貫いた彼らの相手は、容易に想像がついた。


 マーガリーにとっては、そういった話を耳にすることはあっても、彼女自身は相変わらず恋愛や情愛といった世界とは無縁だった。

 嫁ぎ先に困るのであれば貰ってやってもいいぞ、という気心知れた友人はいたが、彼女は仕事が楽しかったから困ってもいなかった。