そんな二人の様子を見守っていたルチアーノが、テラス席に腰かけたまま顔を手で覆い、深々と溜息を吐いて視線をそらした。彼は小さな声で「私の忠告を聞いていなかったようですね」と目頭を揉む。
しばらく、考えるように沈黙していたクリストファーが、「へぇ」と表情なく呟いた。
「つまり、優しい君は、僕に『責任感を覚えなくてもいい』『距離を置こう』と言いたいわけ?」
「怪我の後遺症はないし、無理して会いにくる必要はないよ。どれだけ離れていたって、友達であることに変わりはないから」
無理はしたら駄目だよ、とティーゼは堰を切ったように話し出した。
幼馴染とはいえ異性であるので、クリスは貴族の大人なのだし、単身で訪れるのも止めた方がいいと思う。クリスの外聞も悪くなるし、そういう噂も立っていると聞いた……
胸の前で腕を組み、クリストファーは黙って聞いてくれていた。
昔の事件から続く思いについて、ゆっくり話せるチャンスがなかったから、ティーゼは、この機会にと考えて全てを話し聞かせた。こんな風に正直な気持ちを打ち明けるのは、一緒に走り回っていた幼い日以来だった。
しばらく、考えるように沈黙していたクリストファーが、「へぇ」と表情なく呟いた。
「つまり、優しい君は、僕に『責任感を覚えなくてもいい』『距離を置こう』と言いたいわけ?」
「怪我の後遺症はないし、無理して会いにくる必要はないよ。どれだけ離れていたって、友達であることに変わりはないから」
無理はしたら駄目だよ、とティーゼは堰を切ったように話し出した。
幼馴染とはいえ異性であるので、クリスは貴族の大人なのだし、単身で訪れるのも止めた方がいいと思う。クリスの外聞も悪くなるし、そういう噂も立っていると聞いた……
胸の前で腕を組み、クリストファーは黙って聞いてくれていた。
昔の事件から続く思いについて、ゆっくり話せるチャンスがなかったから、ティーゼは、この機会にと考えて全てを話し聞かせた。こんな風に正直な気持ちを打ち明けるのは、一緒に走り回っていた幼い日以来だった。