ティーゼは数分ほど、ルチアーノの感想を待ってじっとしていた。
彼が離れる様子もないまま長い沈黙の時が続き、覗いた傷跡に向けられているであろう強い視線を考えると、何だか妙な恥ずかしさが込み上げ始めた。思えば、傷跡を人に見せたのは久しぶりで、近所で世話になっているおばさんに、二年前に心配されて見せて以来の事だ。
堪らず首を戻して「あの、もういいですかね……?」と視線を向けたところで、ティーゼは、予想以上に近い距離あるルチアーノの赤い瞳とぶつかった。
「気になりませんよ」
椅子から半ば身を起こしてい姿勢で、ルチアーノが薄い唇を僅かに開いた。
何故か、彼は傷跡ではなくティーゼの顔を見ていた。吐息が触れるような距離で話しかけられ、ティーゼは少しだけ驚いてしまった。
「……まぁ、私の傷跡が気に障らなかったようで何よりです。これ、結構薄くなっているでしょう?」
白い肌に傷跡がはっきりと浮いているが、太陽に晒していないので、目を背けたくなるような痛々しさはない事は自分が一番よく知っている。ティーゼはそう言いながら、開いていたシャツの襟から手を離し、そのままシャツのボタンを締めようと手を伸ばした。
その時、不意に首筋の一点がひやりとして、ティーゼは小さく飛び上がった。
彼が離れる様子もないまま長い沈黙の時が続き、覗いた傷跡に向けられているであろう強い視線を考えると、何だか妙な恥ずかしさが込み上げ始めた。思えば、傷跡を人に見せたのは久しぶりで、近所で世話になっているおばさんに、二年前に心配されて見せて以来の事だ。
堪らず首を戻して「あの、もういいですかね……?」と視線を向けたところで、ティーゼは、予想以上に近い距離あるルチアーノの赤い瞳とぶつかった。
「気になりませんよ」
椅子から半ば身を起こしてい姿勢で、ルチアーノが薄い唇を僅かに開いた。
何故か、彼は傷跡ではなくティーゼの顔を見ていた。吐息が触れるような距離で話しかけられ、ティーゼは少しだけ驚いてしまった。
「……まぁ、私の傷跡が気に障らなかったようで何よりです。これ、結構薄くなっているでしょう?」
白い肌に傷跡がはっきりと浮いているが、太陽に晒していないので、目を背けたくなるような痛々しさはない事は自分が一番よく知っている。ティーゼはそう言いながら、開いていたシャツの襟から手を離し、そのままシャツのボタンを締めようと手を伸ばした。
その時、不意に首筋の一点がひやりとして、ティーゼは小さく飛び上がった。