ルイがマーガリー嬢に手紙を渡すべく向かった後、ティーゼは、ルチアーノに連れられて別荘へと戻った。

 暖かな日差しがあたる別荘のテラス席には、湯気の立つ紅茶と、卵サラダがたっぷり詰まったサンドイッチが用意されていた。もはや何も言うまいと、ティーゼは促されるまま腰を落ち着け、それらに手をつけた。


 というより、ルイに頼まれた分のミッションはクリアしたはずなのに、どうして自分は、ここに戻って来ているのだろうか。


 ティーゼは少し遅れて、流されるまま再び魔王の別荘に来た事に気が付いた。

 ルイがクリストファーに「後で別荘に来て話すといいよ」と告げていた事を考えると、まぁ仕方ないのかなとも思う。しかし、手紙を渡す事に関して一人で出来るのであれば、あそこでティーゼを解放しても良かったのではないだろうか。

 そうしていたら、わざわざクリストファーに、余計な時間を取らせず話し合えたかもしれないのに。