私達は、どこの町にもいるような騒がしい子供の集りだった。

 まるで自分の庭のようにそこら中を走り回り、塀や木に登り、水路で遊び、小遣いを出して皆で揃えた木刀で剣士ごっこをして楽しんでいるような、やんちゃな子供だ。

 そんな私達の集まりの中に、ふらり入り込んだのは、少しだけ年上の貴族の男の子だった。

 はじめて彼の顔を見た時は、女の子なのかなと思うほど綺麗で驚いた。仕草も丁寧で言葉使いもキレイで、私達とは何もかも違っているのに、彼は迷わず私達のもとへやって来ると「僕も仲間に入れてよ」と羨ましそうにはにかんだのだ。
 
 いつも後ろをついて回るようになった彼の、華奢で幼い姿を目にする事にも次第に慣れていって、いつの間にか一緒に遊ぶのが当たり前になった。


 ある事件を境に、彼は私の後ろをついて歩く男の子じゃなくなった。
 いつも私の手を取って、どこか気に掛けて歩くようになった。