誰ともなしに喋って、いつの間にか笑顔が浮かんで。公園でみんなと別れてから、海雨への報告が増えたことを嬉しく思う。みんな、海雨のことは気になっていたそうだ。ただ、私ばかりが傍にいるから、近づくに近づけなかったらしい。……みんなには悪いことをしてしまっていたかもしれない。
このまま病院へ行こうかな。ママは朝来てくれたから、夜すれ違う心配もない。
海雨に話したい。……黎に逢いたい。
あ、でも黎はお仕事なんだった。
黎からは聞いていないけど、海雨は病院の職員だと言っていた。そのあたり、逢ったら訊いておこう。黎から言質(げんち)は取った。「また」と言ったのは何があっても忘れない。
公園を出ようとしたところで、人目を引く青年がこちらを見ているのに気づいた。ブレザー姿だから、学生だろうか。
黎ほどではないけど長身で、黒髪に銀の前髪が一房混じっている。きりっとした面立ちで、何故かじっと私を見ていた。あれ? あの髪の色、どっかで……。
危ない人かと思い、迂回しようとしたとき。
「桜木真紅?」
フルネームで呼ばれて、振り返ってしまった。その声は、青年からだった。
「――黒藤様!?」
直後、黎を追って行ったはずの桜城くんが戻って来た。
くろとさま? って、さっき黎と話していた……?