「それで、こちらが彼氏の黎です」

『………』

翌、放課後。黎は部外者なので、学内ではなく一番近い公園で、私は女子たちと向かい合っていた。

人数が昨日より増えているのは何故だ。

みんな、黎を見て呆然としている。黎の美麗な見た目に魂抜かれているのか、それとも私に彼氏がいるなんて嘘だと思っていたのか。

「真紅が、みなさんに迷惑でもかけてしまったのか?」

黎が問うと、女子の間で視線が交わされる。

「そ――

「こういうこと、だったんだ?」

『!』

タイミングよく表れたのは、桜城くんだった。

「桜城く……」

女子の一人が、引き攣った声を出す。

「ごめんね。みんなが一緒に出てくの見て、気になっちゃって。……俺が真紅ちゃんの近くにいたの、理由は黎なんだ」

『え?』

どういう意味だろう、と私も考える。昨日、桜城くんは自分に考えがあるから、取りあえず黎が彼氏ということで紹介して、と言われた。それ以上のことは教えてもらっていない。

「黎は――真紅ちゃんの彼氏は、俺の兄貴なんだ」

『!』

そこまで話すんだ。黎に異論はないようだが不服なようで、どんどん不機嫌な顔になっていく。