不審者は、不審者のくせに、心配するように言ってくれるけど私は悔しくて悪態をつく。

こんな間抜け姿を見せる醜態が悔しい。

……心配されるような口調をされると、困る。どうしていいのかわからないから。

言動は思いっきりヤバい人なのに、助けられているみたいに思えちゃうから。

「寒いのは我慢しろよ」

そう言って、服の背中をめくりあげられた。

………。

傷に、素肌に、手が触れている。

不審者の。

「……ギャーッ! 何すんだ色魔! 変態!」

「傷治ってるか見るだけだ。騒ぐな。人気(ひとけ)がないからって人がいないわけじゃねえんだ。見つかったら恥ずかしいのはお前だぞ?」

「恥ずかしい原因作ってる奴が言うな!」

な……何なんだこれ! 何の仕打ち!?

「ひゃっ!」

急に背中に手を当てられてびくりとしてしまった。冷たっ! 手が滅茶苦茶冷たい! こいつどれだけ外にいたの!?

「結構深く斬られているな。……いや? これって……」

何やら独り言ちているけれど……何でもいいから早く服を着させてーっ!

「うう……あんまりだよ……何が哀しくてこんな醜態……」

「騒ぐな」

この状況で大人しくしてる余裕なんかない!

「おい。お前……」

「何!? 何してんの今!?」

「……元気だな」

貧血でも、不審者に質問も許さないくらいに叫ぶことは出来た。

「ひぎゃっ!」

「痛っ」