「さあて。真紅と黎はどうやって紅亜様に許しをもらうのかなぁー」

「傍観者決め込んでるだろ、お前」

「むしろ近い将来、俺が白をもらうのの後学の為に――」

「紅緒様に殺されるぞ、お前。少しは口を慎――

言いながら、俺の右手がドアノブを廻した。そして固まった。

「――そう、じゃあ真紅と黎明のは結婚を前提に付き合っているわけね。――許すわけあるかぽっと出のガキ! わたくしの姪っ子に手を出したら黄泉路を歩かすわ!」

「紅緒! 真紅ちゃんは本当に黎くんのことがすきなのよ。私たちがとやかく言うことはないわ」

「姉様の審査が甘すぎるのです! 大事な娘を掻っ攫っていく野郎ですよ⁉ 真紅の為なら神龍退治くらい出来る奴じゃないと認めないわ!」

「だから何で母親の私より紅緒の基準のが厳しいの⁉」

……あまりな姉妹のやり取りに、俺、黒、揃って入り口から動けなかった。

室内では何故か、床に正座した真紅と黎明の、そして向かいに座した紅緒様と紅亜様がいた。

更にどうしてか、真紅は黎明のの腕に抱き付いている。

ど、どういう状況だ……⁉

黒とともに状況を理解出来ずに困惑していた。

すると俺たちに気づいた真紅が、助けを求めるような視線を向けて来た。

ちょ、ちょっと待ってくれ、と、困惑の俺は真紅に向けて片手をあげた。そして黒に囁く。

「おい黒。なんで激昂してるのが紅緒様で、紅亜様が黎をかばってるんだ?」

「全然わかんねえ……。母上はもともと激しやすい人ではあったけど……」

「突拍子のなさがお前以上だな」

「その言葉が最早俺への褒め言葉に聞こえるくらいひでえな、母上は」

こそこそと会話する二人。紅亜様と紅緒様の攻防は続く。