「俺はいないと思って話してくれていいよ。俺はあくまで、白桜さんが真紅ちゃんに危害加えないための護衛だから」

桜城くんは頑として退かない。血は繋がつながっていないと黎は言っていたけど、やはりどことなく似ている気がする。

「真紅。架のことはこの際気にしないで話そう。黒も紅亜様ももうここは離れている。戻って来ても入れないようにした」

白ちゃんにも言われて、私はまた拳を握った。

「わかった……。白ちゃん、黎が死にかけてた私の血を吸って、後から自分の血を私に送って助けてくれたの、気づいてるよね?」

「……はあっ!?」

「推測の域は出ないでいたが……やはりか。古人殿の心配もまさにそれだっただろう」

「ええっ!?」

「「桜城くん(架)うるさい」」

いないと思えないほどのリアクションだったので、思わず白ちゃんと声がそろってしまった。

「だっ、て、ええ!? ……ちょっと待って真紅ちゃん!? 兄貴が血を吸ったって何!? 真紅ちゃんは――」

「真紅。順を追って説明してくれないか?」

混乱の極みの桜城くんを制した白ちゃんに提言された。私は「桜城くんも、聞いて」と話し出した。

「三日前の夜、私は海雨の病院の帰りに、何かに襲われて死にかけてた。それを助けてくれたのが黎だった。最初私は、本当に自分は死ぬものだと思って血の全部を黎にあげるつもりだった。でも、私の血を吸った黎は、その後に自分の血を私に送って助けてくれたの。……目覚めてから、昨日黒藤さんに逢って思い出すまで考えてもいなかったんだけど……。私を襲ったものは、黒い翼があった。刀……日本刀みたいなものを持っていて、何人? ものそれが私を囲んでいた。視えるようになってから、思い出したの」

「黒い翼と刀?」