「よかった」

 そう琴子がいったのと同時に琴子のかぶっていた帽子が風に煽られて宙に浮く。

「あっ!」

 その帽子は女の子の手元へと運ばれていく。
 女の子は昨日出会った、不思議な三人のことを思い出してぎゅっと帽子を握り締める。

(ありがとうございます。おねえさんたち)

 心の中でそっと思った言葉は、琴子の耳に届いていた──