女の子の家は大層立派な門構えで、石畳の奥にはそれはもう地主かというほど大きな家があった。
 琴子は都会育ちであったため、昔ながらの日本家屋でさらにここまで大きな家を見たことがなく腰が引けてしまう。
 そして、神社にきた女の子は一人で庭にある池で泳ぐ金魚で、金魚すくいの練習をしていた。

「あのさ、日和、葵」
「はい、ミコ様」
「誰かな、女の子に『極意を指南する』なんて大それたこと考えたの」
「申し訳ございません、彼女がここまでの実力とは」

 琴子たちは家の壁からこっそりと覗いて女の子の様子を見ていたが、なんと女の子は目にもとまらぬ速さで金魚を掬っていく。
 なんと彼女は3秒に1匹の速さで掬って器に入れている。

「私、金魚すくい大会舐めてたわ。このレベルなの?」
「確かに素晴らしい実力ですが、優勝は確かに難しいラインかもしれません」
「え? これで?」
「はい」

 すると、急に女の子の手が止まり、こちらを見る。