藍色の夜空には、光のシャワーみたいに無数の遠い宇宙からの発光体が、目の前を流れ堕ちて、輝きを一瞬一瞬、見せつけていく。それぞれが、ひとりぼっちだった星たちは、一緒に流れたり、手を繋ぐように重なって、揺れたり、堕ちたりを繰り返しながら、真夜中のキャンバスを彩り、光の筋となって駆けていく。

「綺麗……だね」

もう、その言葉しかでなかった。

「願いごとしてみる?」

「流れ星に?」

気のせいかも知れないけれど、瞬の顔が真っ赤な気がした。なんだか、同年代の男の子に失礼なのかもしれないけど、可愛らしいなと思った。

「あ、いや、やっぱ願い事なんかで誤魔化せない」

「え?何?」

私は、瞬の顔を覗き込んでいた。もっともっと瞬のことが知りたい。

「ちゃんと声、聞いてみたいんだけどな、あみの声。……あんなに一生懸命さ、星見上げて、どんな子なんだろう、どんな声してるんだろうって、ずっと思ってたから」

ぼそりとつぶやいた瞬の声に、心臓がきゅっとなる。

「どうやったら……届くかな」

「そりゃ……耳元で、その」

頬を赤らめた瞬が、私の瞳をじっと見つめた。

「耳元で話すの?」 

「まあ、……」

「えっと……私、誰かの耳元の近くで話すの……初めてだから……」

何気なく口から出た言葉に、瞬が、俺もそうだし、と拗ねたように返事した。