よりにもよってこの年に民法が変わって三学年合同成人式が行われるのは運命のいたずらか。十八歳の(めい)は二十歳の私の手を引いて県境近くの山道を走る。振袖のまま走り続け、とあるログハウスの前に辿り着いた。

「ごめんね。巻き込んで」

 明は昔から変わらない頼もしい笑顔を私に向ける。

「気にすんな。ここで待ってれば私の恋人が迎えに来てくれるからさ」

 明は親指を立ててまくし立てる。

「年上で、すごく頼れるカッコいい人なんだ。あの人が私を助けに来てくれる。だから、なんの心配もいらないんだ」

「すごいね、明の人脈。やっぱり明はすごいね」

「人を頼るのも才能だからな」

「私がちゃんとできなかったから迷惑かけちゃって、本当にごめんなさい」

 私が謝ると、明は私の頭をポンポンと叩き、その後優しく撫でた。

「こよ姉は私を頼ればいいよ」

「ごめんね、私年上なのに」

「じゃあ、今日だけ私がお姉ちゃんになる。(こよみ)、甘えていいよ」

 化粧をした明は見違えるほど大人に見えた。だから、驚くほど自然に彼女を呼べた。

「うん、めい姉」