二日後、翔太は学校の廊下で凛を見かけた。まだ本調子ではなさそうだが、いくぶん顔色の良くなった彼女は友人と仲良く話をしていた。翔太を見かけると、わざわざ駆け寄ってくる。
「一昨日は、ありがとう」
はにかむ彼女は、来週には部活にも顔を出すつもりだと言い、「よかった」と翔太も笑った。
一週間も経てば、宣言通りに彼女は次第に元気を取り戻しているようだった。
だが翔太は微かな違和感を覚えていた。凛とは一年半ほどの付き合いしかないが、彼女はその明るさと共にいつも距離を詰めてくれた。常に優しさと思いやりを持って、元気に接してくれていた。
その優しさは微塵も変わらない、彼女は確かに榎本凛だ。それなのに、何故だか距離感がおかしい、気がする。控えめになったといえばそれで済むのかもしれない。だがその理由がわからない。いつも何かを思案しているような、近づきすぎないよう距離を測っているような、そんな雰囲気がある。
見舞いに行ったあの時、凛は一体何を尋ねようとしたのだろう。「翔太の」それに続く台詞は、果たして何だったのか。
悶々と考え続けるある日、部屋の電話が鳴った。
「話があんだけど」
そう言ったのは、凛ではなく友加里だった。
「一昨日は、ありがとう」
はにかむ彼女は、来週には部活にも顔を出すつもりだと言い、「よかった」と翔太も笑った。
一週間も経てば、宣言通りに彼女は次第に元気を取り戻しているようだった。
だが翔太は微かな違和感を覚えていた。凛とは一年半ほどの付き合いしかないが、彼女はその明るさと共にいつも距離を詰めてくれた。常に優しさと思いやりを持って、元気に接してくれていた。
その優しさは微塵も変わらない、彼女は確かに榎本凛だ。それなのに、何故だか距離感がおかしい、気がする。控えめになったといえばそれで済むのかもしれない。だがその理由がわからない。いつも何かを思案しているような、近づきすぎないよう距離を測っているような、そんな雰囲気がある。
見舞いに行ったあの時、凛は一体何を尋ねようとしたのだろう。「翔太の」それに続く台詞は、果たして何だったのか。
悶々と考え続けるある日、部屋の電話が鳴った。
「話があんだけど」
そう言ったのは、凛ではなく友加里だった。