カフェの扉を開けると、からんからんとベルの音が鳴った。
最近はあまり聞いていなかったこの音が、けっこうお気に入りだったりする。
このカフェテラスを選んだAIさんの評価が、少しだけ上がった。
AIさんはまだ来ていなさそうなので、にこやかな笑顔を振りまく店員さんに「あとからもう一人来ます」と伝え、先に席に座った。
相手は私のことが好きなのだ。 私の容姿も知っているだろう。
AIさんが来た時に見られてしまうと恥ずかしいので手紙を取り出すことはせず、代わりにカバンから課題を取り出した。
鬼の山田先生からのプレゼントだ。 恋愛っぽくいうと、「私だけにくれた」課題。
なんでも、授業に集中していなかったバツらしい。 授業なんて聞かなくてもわかるのに、と私は頬を膨らませた。