「うあ……の、惣一郎様……っ」
「ん? 湖雪は俺の花嫁になりたくないか?」
………花嫁。
惣一郎の……花嫁。
「…………なりたいです」
恋した人の、隣に立ちたい。
「でもっ、あの……っ」
「ん?」
小首を傾げる惣一郎。このままその胸に飛び込みたい……。でも、私と私との、約束を護らなくちゃ。
「……告白を、させてください。惣一郎様に」
湖雪は衣のあわせをきゅっと摑んで、がんばって言葉を送り出した。
「………うん」
惣一郎は優しく微笑んで答える。その笑顔に胸が締め付けられる。この気持ち……全部言葉にしたいなんて、贅沢だろうか。
「私……惣一郎様が………すきです。大すきです………っ」
泣きそうになる瞳で約束を叶える。あ……初めてだ。自分の気持ちを口にしたのは……。
ふわっと、温かい腕に包みこまれた。惣一郎の腕の中……。胸に耳が押しつけられて、ドキドキと鳴る心音を耳にする。音が……重なっていく。自分のドキドキと、惣一郎のドキドキ……。
気持ちが同じだと、教えてくれているようだ……。
抱きしめられる腕に、そっと手を触れさせた。また一層強く抱きしめられる。