桜の見せる夢が、もう明けようとしている。
「湖雪様。最後にもう一度、お逢い出来てよかった。わたしのことで絶対に、ご自分を責めてはいけませんからね。湖雪様にまたお逢いできて、桃花はこの上なく幸せだったのですから。……鬼は終わるときを決められません。鬼は鬼にしか殺せない。桃花はこれからも、旭日として、桃花として……湖雪様……こと……見守っていますからね。湖雪様が忘れてしまっても………湖雪様……わたしの……こ………愛して……る」
「あさひさん!」
湖雪が抱きしめた旭日の姿が光と霧散し、湖雪の周りをきらきらと輝いて桜の樹に吸い込まれていった。
「……っ」
旭日さん、あさひさん……
「……っ、わたし、も……だいすきだよ、ずっと……」