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目を開ければ、近くに婚約者の顔があった。
「あ。起きたか?」
「ぎゃあっ!?」
驚いて勢いよく身体を起こせば、惣一郎に頭突きを喰らわせていた。
「~~~~~っ!!」
「~~~~~~っ!」
思いっきり当たった顎を押さえてうずくまる惣一朗と、頭突きをしてしまった頭を押さえる湖雪。
「こゆきぃっ!」
さすがに涙目になって叫ぶ惣一郎。
「うあっ、な、何でこんな間近にいるんですかっ」
「口づけで起こそうと思って」
「そういうことしないでくださいって言ってるんです!」
叫んでしまって、しまったと気づく。朝からこんな大声を出して、叱られものだ。
「あぅ……」
「湖雪!? どうした!」
どう取り繕えばいいか考えていると、ピシャッと障子戸が開け放たれた。雪の冷えた空気が部屋に滑り込んで肩を竦めた。
何度も聞いた声に、湖雪は顔をあげた。
昨日別れた姿の櫻が、目を見開いた形相で踏み込んでくるところだった。
……あ。
今の自分たちの状況。布団をかけたままの自分と、覆いかぶさるように湖雪の脇に手をつく惣一郎……。……誤解された!?
「貴様、本気で殺すぞ!」