手を取られ、身体を引き寄せられる。湖雪の身体が宙に舞い、抱きしめられた。 頭を抱き寄せられ、幼子のように頭を撫でられる。 「逢えたな、また」 そんなことを言われた。 「あなたは……」 湖雪は青年を見上げた。姿が明瞭になってくる。深紅の髪――― 「櫻だ。お前がくれた名だろう?」 さくら。 ああ、そうだ。あの人の櫻。 邂逅は――約束だったんだ。