「何故ですか!?」

「………」

「惣一郎様!」

「……………」

「……答えて、くれないのですか……?」

「………」

「……わかりました。もう、いいです」

「………湖雪、」

「お戻りください。取り乱して申し訳ありませんでした。頭を冷やします」

「……ああ。突然すまない」

惣一郎はすっと湖雪から手を引いた。そのまま部屋を出て行く。

閉まった戸。消えた背中。どうして……? あんなに――

幸せだったのに。

「あ……うあああああああ――……っ」

惣一郎様……惣一郎様……! ……もう、あなたに触れることは叶わないのですか……?