「えーと、揚げ出し豆腐とブリ大根」

蒼司(そうじ)、あんたはいつの間にそんなの覚えたのよ」

「アプリだよ。料理アプリいっぱいあるじゃん。いつもながら姉ちゃん、大きなため息だな」

「色々あるのよ。上司はウザいし、後輩はトロいし、お局様は口だけ動かして何にもしないし、もうクタクタよ」

俺は姉の愚痴が本格的になりそうなのを感じた。

「姉ちゃん。飯、もう少しかかるからさ、風呂から先に入ってこない? 着替えてる間に沸くし」

「そうする~」

姉が上着を脱ぎながら、自室に入って行った数分後、風呂が沸き上がったことを知らせるベルが鳴った。

姉が時間を見計らったように、浴室へ向かう。

スウェットスーツを着た姉を見て、あれっ? と思った。

スウェットスーツ越しにも、はっきりと胸の膨らみが判る。