サッカーの試合、応援は初めてだった。

校舎の窓から、仁科くんがグランドで部活をしている様子を眺めることはあった。

放課後、グランドの金網越しの仁科くんを観たこともあった。

仁科くはいつも、たくさんの女子から応援されていた。

近寄りがたいーーそう感じていた。

1年生の高体連以降は、仁科くんと話しているだけで、ひそひそ話をされたり、ジロジロみられたりして気まずかった。

試験の日程が出て部活が試験休みになると、一緒に帰ることもあったけれど、いつも女子の視線が怖かった。

病院の待合室で時々会って、声をかけてくれる仁科くんの明るい笑顔が好きだった。

わたしにだけ向けてくれる笑顔だといいなと思った。

初めて観るサッカーの試合。

白熱する闘いをいつの間にか、のめり込み身を乗り出して観戦していた。

日焼けするのがイヤで、日傘をさして応援していたけれど、とうでもよくなっていた。