結城は電話を切りベッドの傍らに置いた。

――広報部長か。盲点だったな。
やはり、あの先を探るべきだった。
恐らく、浅田経由で編集部へ侵入していたのは、広報部長の小今田氏だろうな。
浅田との現場と会話を押さえる必要があるな


結城は疲労と倦怠感で、ゆっくり眠りたいと思うのに、頭は冴えていくばかりでなかなか眠れない。

姉「詩乃」は結城を病院から連れ帰った後、ひとしきり心配しながらも、仕事へ戻っていった。

ご丁寧に昼食と夕食を暖めるだけの状態にして。


結城は、我が姉ながらマメな人だよなと感心する。

彼女は結城に、1日決まった時間に、数回メールか電話を寄越す。

元気確認の電話。
結城は過保護だなとも、ブラコン(brother complex)かとも思う。

病弱な弟が心配で押し掛け同居をしている姉。

浮いた話の1つや2つ、あっても可笑しくはない。