――素直に言えばいいのに
紗世は思いつつ鍵を受け取り、運転席に座る。
結城はゆっくりと、一歩一歩確かめるように、助手席側へ回り席につく。
「運転の腕は確かだろうな? …… 車酔いするから人の運転って不安なんだけど」
「え!? 吐かないでくださいよ」
「……自信ない、お前の運転しだい」
結城は言いながら、窓を開ける。
座席を傾けようとし、思い留まり、シートベルトを閉める。
結城は紗世が運転し始めると、怯えたように膝を抱え前傾姿勢になった。
信号待ちするたび「吐きそう。やっぱり自分で運転する」と言い、シートベルトを外そうとする。
「ダメです。熱があるんですから」
紗世はハンドルを握りしめて譲らない。
かくして、結城は紗世を梅川百冬のマンション、来客用駐車場に着くなり「下手くそ」と罵った。
紗世は思いつつ鍵を受け取り、運転席に座る。
結城はゆっくりと、一歩一歩確かめるように、助手席側へ回り席につく。
「運転の腕は確かだろうな? …… 車酔いするから人の運転って不安なんだけど」
「え!? 吐かないでくださいよ」
「……自信ない、お前の運転しだい」
結城は言いながら、窓を開ける。
座席を傾けようとし、思い留まり、シートベルトを閉める。
結城は紗世が運転し始めると、怯えたように膝を抱え前傾姿勢になった。
信号待ちするたび「吐きそう。やっぱり自分で運転する」と言い、シートベルトを外そうとする。
「ダメです。熱があるんですから」
紗世はハンドルを握りしめて譲らない。
かくして、結城は紗世を梅川百冬のマンション、来客用駐車場に着くなり「下手くそ」と罵った。