「ベタベタだろ、あれ。りゅうの方が惚れ込んでる感じじゃん。俺も惚れ込んでるんだけど……絆がベタベタすんのゆるしてくんない」
「うん、お前も大概絆ちゃんの話は素直だよね。流夜さ、結構ちゃんと言葉にしてるって言うか、言わない所為でのすれ違いがないみたいだよね。なんで?」
「あー、りゅうはあいつ、恋愛初心者だからじゃね?」
「……どういうこと?」
「勝手がなんもわかってねえから、隠すとか言えないとか言うレベルまでいってねーんだよ。思ったことは全部口にしちまう、みてーな」
「ああ、なるほど。……」
「ふゆ――」
「僕はなにも後悔とか、してないから」
言い差したのを遮るように、僕は言った。
「すきになって駄目だったとか、すきにならなきゃよかったとか、僕はそういうところに落ち着く気もはまる気もない。ずっとすきでいるだけだよ。……だから、変な心配しないで、降渡は絆ちゃんとベタベタ出来る方法を考えなよ」
「……そうします」
ハンドルを左に切った。
最初にすきな人がいたのは僕だった。高校生になって降渡には絆ちゃんが現れ、今、流夜には咲桜ちゃんがいる。
孤独を。
感じているほど、それぞれ相手は簡単じゃないんだよねえ。