「うん。嘘。……優しさのために、私に嘘をつかないとこ、すきですよ」

「……じゃあ、これからもそうするか」

「そうですね。だったら、私ずっとすきでいるよ」

「……お前は素直って言うか天然で爆弾だから困る」

「へ? 爆弾?」

「気にしなくていい」

はらりと手を振られた。この話はもう終わりだということだろう。

少し店内を見て歩いたけど、うまくイメージがわかない。首を隠すことばかりを前提で服を選んでいたからだろうか。見つからなかったことを謝ると、なら他のとこへ行くかと簡単に応対してくれた。

成果のない長い買い物に付き合わされても文句言わないとは。

さっき流夜くんが口にした学生時代の姿と違い過ぎる。どこでどんな変化があったらこうなるんだろう。

女性の服ばかりでも、つまらないだろうか思い、近くの複合ショッピングセンターを提案した。

近くに、笑満とこの辺りに来るとよく行くカフェがあるから、お昼はそこもいいかもしれない。

「流夜くんと在義父さんって、いつごろから知り合いなの?」

ショッピングセンターに入り、手を繋いで歩く。

並んでいるお店に入ってみるけど、私の意識は流夜くんにしか向いてくれない。

「俺が中学に入ったくらいだ。事件の被害者って括りで最初に龍さんに見つけられて、行く当てがなかった俺が龍さんの祖父のとこに預けられたんだ。小学生になる前の頃。そこが吹雪の生まれ育った地元で、愛子ともそこで知り合いになった。降渡は俺の後にじいさん――龍さんの祖父さんとこに来た。在義さんとはその後、桜庭に入った頃だな。愛子の先輩って形で知ったから」

「龍生さんのおじいさん?」

なんでいきなりそんな人が登場するのだろう。

「降渡も家族亡くしてて、俺と一緒に龍さんの祖父さんに育てられたんだ」