「だから薄倖の美人とか言われてキレて俺たちが回収しないといけなくなったりな……」

「……大変だね」

吹雪さん。

急に流夜くんが哀愁を帯びるから、本当に大変だったとわかる。

そう言えば在義父さんが、流夜くんと降渡さんを、吹雪さんのストッパーだと言っていた。

「その……流夜くん。こういうの訊くのも変かもしれないんだけど……」

「なんだ?」

意を決する。本当に、二人でいるときに訊くのもおかしいかもしれないけど。

「い、今までの彼女さんたちとは、こういう風に歩いたの?」

「は?」

案の定流夜くんには、なに言ってんだ、みたいな顔をされた。

「流夜くん、彼女とかたくさんいたんでしょ? どういう風だったのかなって、気になって……」

「前にも言ったけど、咲桜が気にすることじゃないだろ。どんなだったかは話した通りだよ」

「そうかもしれないけど。……やっぱり、気になる」

どうしても、過去の流夜くんを見てみたくなる瞬間がある。

相手から告白されて付き合っただけだ、とは話してくれたけど。

私が必死に言っているのがわかったからか、流夜くんは少し考える素振りをした。

「そうだな……まあ連れ出されたことはあったと思うよ。向こうが行きたいっていうから同行したこともあったけど、実のとこは早く署に行きたくてしかたなかった」

「しょ?」

とは、なにを言ってんだ?

振り仰ぐと、流夜くんは困った顔だった。