吹雪さんのとんだ発言に、女性たちは一瞬にして固まった。

う、美しさ? ぶっちゃけ私から見ても、女性的美しさは吹雪さんの方が上だ。

吹雪さんは中性的な美人だけど、化粧もなにもない分、素の美しさがキラキラしている。

彼女たちは敗北でもしたような顔になった。

「ご、ごめんなさいー」

脱兎のごとく逃げるキラキラした女性たち。

呆気にとられるしかない。

傍らの流夜くんと降渡さんは、慣れた様子で眺めていた。

「ほらな。ああいうのは、大体吹雪がああ言えば逃げていく」

「『僕』って言ってるんだけどなー」

「吹雪さん強すぎます!」

どんな武器を持っているんだ、あの人は!

「あ、でもそれで吹雪さんの女の人だって誤解しちゃう人もいるんじゃ――」

心配が的中して、吹雪さんに男性が近寄ってきた。

「ね――
「消えなよ」

言葉が最後までないままに、男性は足を踏まれた。

「言い寄る野郎は大体暴力で解決する」

「吹雪さん警官だよね⁉」

「ふゆのおかげで俺たちは被害がないから頭があがらねえんだよなー」

「吹雪さん無敵じゃないですか!」

まさに敵なし。吹雪さん無双だ。

足を踏まれた男性が涙目で逃げていくのを見て、後ろに控えていた男性たちは目を逸らし出した。

こ、こわー。

「まったくうざいよねー。流夜、お詫び今のでいいよね?」