「みるこ……」

ふと聞こえた声に、まどろんでいた私の意識がはっとした。今のは流夜くんの声。寝惚けた様子もいつもと変わらない。……みるこ?

(……ミルコ……なんかそういう名前の格闘家がいたような……)

古い記憶の中で聞いたことがあるような名前。……格闘番組のCMだっけ? 確かそんな名前の人がいた気がする。夢にでも出てきたのかな。流夜くん自身も腕はたつようだし、格闘系がすきなのかも。

「………」

ぽんぽんと背中を撫でる。いつも優しくしてくれる、半分でも返せたらいいな。