「あたしが二人っきりにしたんだから、少しくらい聞いてもいいよね?」
有無を言わさぬ笑顔で見られ、今度は私が小さくなる番だった。
「……付き合う前提で、付き合うことになりました」
「……は?」
なに言ってんの。そんな瞳で見られて、慌てて説明した。
「あの、流夜くんに、すきだと言われました」
「ほんと⁉」
「うん。……で、本当は卒業まで待って、私に彼氏出来そうになったら邪魔するつもりだったって言われました」
「流夜くん面白―っ」
「それで、私も答えを探してみたんだけど……私の感情と流夜くんの『すき』って言う言葉が同じだって言っていいのかわからなくて……先に言った関係を、提案しました」
「なるほど。つまり咲桜は鈍感だと言うことね」
「そのようです……」
うー、こういう話をするのは恥ずかしい……。と言うか、なんでこんなに形勢逆転してるんだ。
「そかー。でも流夜くん言ってくれてよかったね」
「うん……嬉しかった」
「ちなみにさ、もしほかの人にすきだって言われたら、咲桜はその付き合う前提? を、提案出来たの?」
「え……それは考えてなかった……」
「じゃあ今考えて」
容赦なく促されて、考え出した。
例えば、近い人では頼だろうか。うん、提案なんて出来ない。クラスの男子も考えてみた。教師である流夜くんと比較するためにほかの男性教師も考えてみた。
……誰もダメだった。