「ふゆ、これってどうなのよ」
「無自覚的に自覚してんじゃない?」
「少し遊んでもいいと思うか?」
「僕は止めないよ」
――吹雪に何を言われたのか知らんが、降渡勢いよく指を突きつけてきた。
「りゅう、それはな」
「あ、ああ……」
真剣な顔の降渡に言われ、俺まで神妙な面持ちで聞き入る。
「それは……思いっきり在義さんの娘バカがうつったな。もう感染してるぜ。レベル4だ」
「! マジかよ……まさかレベル4って……」
そこまで強大な感染力を持っているなんて……。
片手で頭を抱える俺をよそに、降渡の背後で吹雪が肩を揺すらせている。
……降渡もまだ何か言いたげな顔にも見える気がするけど、それどころじゃない俺だ。
「まあ、在義さんを崇敬する俺らだったら感染してもおかしくねーな」
「そうなのか……じゃあ、咲桜をほかの奴の嫁にやりたくないってのも、在義さん的立ち位置の心情なのか……」
「そこは俺が嫁にしてーって言おうよ」
……は?
「……俺?」
降渡は失言でもしたみたいに、しまったという顔をした。そのあと「ちっ、気づかれたか」とか呟いている。
……どういう意味だ? おい。
「ごめん、ふゆ。失敗」
「いいよいいよ」
降渡が俺の正面に移動して、両肩をがっちり摑んできた。うざい。
「あのな、りゅう。悪いけどそれに俺らは感染しねえ」