「……遙音先輩、今はどうしてるの?」
車中、ふと気になって訊いてみた。笑満に教えてあげられることがあったらいい。
「バイトしつつ独り暮らし。今は降渡が後見役をしている」
「じゃあ、もう施設は出たんだ?」
「出たと言うか……中学二年の頃、家出同然で龍さんとこに転がり込んできた。施設に話しつけるのは手間だったけど、あいつは一人でも大丈夫だと思ったからな。しばらくは龍さんの手伝いって形で預かって、『白』にいたんだ。高校に入ったらバイトして一人暮らし始めた」
「……そうなんだ」
並大抵ではない苦労を、先輩もしているのだ。
誰より、などと比べることは愚で。
配列など意味のないこと。
「遙音と仲良くでもなったのか?」