「覚悟すれば大丈夫。私は貝になる」
「またわけわかんねーことを……」
真っ直ぐに突っ込んでき過ぎるんだ、この子は。
「たまに近くにいてくれとも言ったじゃん。たまになんて遠慮しなくていいから」
「遠慮じゃないよ」
あっけらかんと話す咲桜。頼むからこちらの寿命が縮むことを簡単に言うな。人目を盗まないと逢えないときもあるんだから。それに咲桜ガードには何人か危ないのがいる。
「そうなの?」
「そうだよ。ほら、送っていく。それこそ在義さんに怒られる」
「うあっ」
咲桜は時計を見て、まずいという顔になった。猪突猛進、喧嘩上等な咲桜には、在義さんという歯止めがいて本当によかったと思う。
なんだかんだ、咲桜と親しくなるのを否定されたり邪魔されたりもしていないしな。