耳を澄ますと、静かな寝息が聞こえて来た。

マジか。え、いやなんでこんな格好で寝られるの。器用だなー。

「………」

しかし更に困った。吹雪さんのところで徹夜も多いという流夜くんが、せっかく寝たところを起こしてしまうのは気が引ける。

こんなところで寝てしまうほど疲れているのだろうから。

と言ってこのままではちゃんと眠れないだろうし、私もなにも出来ない。

幸いソファの上だから、どうにか転がそう。

そう決めて流夜くんを横にしようとすると、しっかり腕が巻き付いている私も一緒に倒れこむ羽目になった。

「……流夜くん、起きてない?」

わざとのような気がして声を尖らせるが、目は閉じたままで息遣いも変わらない。

本気で寝ているようだ。眠りが深い。

しかしまあ、一応横には出来たので、あとは私が離れるだけだ。

……だけなのだが、流夜くんの腕が絡みついて離れない。

悪戦苦闘しているうちに、余計に抱き寄せられた。

額がくっつく距離よりも近いかもしれない。

なんだこれ! 笑満!

とりあえず笑満に助けを求めてみる。笑満だったらにまにましながら「お邪魔しました~」とか言って退散しそうな気がして止めた。

頼! ……には助けを求めたくない。在義父さんも夜々さんも見られたら流夜くんがぶっ殺されそうだし……降渡さんと吹雪さんには知られない方がいい気がする。あとは遙音先輩? ……なんかダメだ。

まともに対応してくれそうな人が一人もいなかった。自分、人間関係見直すべき?

誰も失いたくないけど。

「……起きてくださいー」

起こさない程度の音量で、起きるよう要求する。

無茶だった。

一向に起きる気配も放してくれる様子もない。身じろぐと猶更締め付けられる。

……仕方ない。しばらく流夜くんのすきにさせるか。

相変わらず心臓は騒ぐし、全然落ち着かない。けれど居心地はいいから。

「……おやすみなさい」

なんだか私まで眠ってしまいそうな心地だ。

でもそうすると心臓が主張を始める。

……結局いつも通り、一人で泡喰っていただけだった。