……またホールドされてしまった……。

流夜くんに抱き込まれるようにソファに倒れこんでしまい、どうにも離してもらえない。

離れようとしても、がっちり抱き寄せられていて抜けられなかった。

「………」

うなりたい気持ちを抑えて、少しなら抱き枕になってあげようかと腹を括った。

流夜くんがいてくれて安心するのは、私も同じだ。





夜半を過ぎて、玄関の扉が開いた。

緊急の帳場が解散した在義父さんの帰宅だった。

泊まり込みになると咲桜には連絡したから、もう寝ているだろう思って音を立てないよう気を付けた。

ところがリビングには明かりはついている。まさか起きて待っていた?

可愛い娘の健気なところを考えて覗き込んだ在義父さん、凍った。

ソファに娘とその仮婚約者がもつれるように眠り込んでいた。

在義父さん、驚愕。

五秒ほど固まったあと、叫んだ。

「~~~~~流夜くん! 正座ぁあ!」

その怒鳴りがお隣に聞こえたかは不明だが、取りあえず夜々子の夜襲はなかった。