咲桜は、心からの安堵の息をつく。
その様子が、ばらされないことだけでなくて、日義と離れる選択肢を選ばなくていいという風に嬉しそうに見えて、若干の悔しさを覚えながらも咲桜の頭を撫でる。
「咲桜に感謝してた。自分の素行を知っても引かないでいてくれたって」
「それは……なんというか……」
「もしかして、すきだったのか?」
「……なにを?」
「日義を」
「んー……友達としてはすきだけど……笑満と同じカテゴリーなんだよねえ」
真面目な顔で呟く咲桜を見ていると、気持ちが和らぐ。
つまりはいいとこ、親友ということか。
「そうか。一安心だ……」
かくん、と支えを失ったように俺の頭が咲桜の肩に落ちた。
「大丈夫? 眠いの?」
「うん……あー、昨日と一昨日、吹雪んとこで徹夜したから……」
「寝てないの⁉ 二日連続で⁉」
驚かれた。
咲桜に逢えない時間潰しでいつもより長い時間いたのだが、思いのほか自分は咲桜に重症だったようだ。眠気なんてからっきしだった。
「気が揉めて寝れなかった……今になってすげー眠い……」
眠気から、自分の声がふわふわしている……。けれど、せっかく逢えたのに眠りたくないと頭が言って、必死に起きていようとする。
「もー、もう大丈夫だから、寝て。私の部屋使う?」
「却下」
「じゃあかけるもの持ってくるから」
咲桜がそんなこと言って離れようとするから、絶対に腕をどけなかった。