「大丈夫だよ。流夜くん変なことなんてしないから」
信頼……されているのか?
微妙な気持ちになるが、朝間先生に言い切ってくれたことは嬉しい。
やっぱりすきな子には信頼されたい。
玄関で朝間戦先生を見送る。最後まで俺には辛辣な態度だった。
咲桜がガチャッと鍵を閉めたので、一応訊いておく。
「在義さんは?」
「今日は泊まり込みだって。さっき連絡きた」
現場主義な在義さんも、変わらず忙しいようだ。若干焦りを感じたが――それよりは、咲桜を安心させたい。
咲桜に向かって手を差し出すと、取ってくれた。また重なった手に嬉しさを感じる。そのまま導いて、リビングのソファに座った。
抱き寄せていると、現実感が伴ってくる。
「日義にはびっくりした……」
てっきり、咲桜とのことをバラすといった方に脅されると思っていた。ところが、隠れていたのはあんなテンションだったとは……。
思いっきり引き寄せると、長い髪に顔を埋める感じになった。咲桜の顎が俺の肩に乗っているのがわかる。
「昔っからああなんだ」
「そのようだな。今度咲桜の写真見せてもらうことになったから」
「なんでっ? 頼と話したの?」
「さっきうちに来た」
「だ、大丈夫だった……?」
ばっと離れた咲桜の顔が蒼ざめる。どこまでも心配してくれるんだな。
「大丈夫。咲桜のこと、頼むって言われた」
「え……頼に?」
「ああ。婚約のこととか、大雑把にだけど話したら納得してくれた。バラしはしないとも言った」
「そ、っか……よかった……」