すれ違いざまに言われただけでは学内での認識かとも疑っていた。
教師神宮(おれ)と咲桜が、個人的に仲良くなっていることに気づいた、と。
それが今、決定的なことを言われた。学外での。
「………」
思わず咲桜の肩を摑む手に力が入ると、咲桜は勢いよく振り仰いできた。
「頼! 先生は父さんの関係なだけだ! だからお前は――
「関係性なんてどうでもいいんだ咲桜。先生! 早速俺の被写体になってください!」
――日義は嬉々としてそんなことを叫んだ。
「……はい?」
……被写体?
意味がわからず問い返すと同時に、咲桜が頭を抱えた。
「先生の身体のバランスは完璧です! 咲桜の隣に見るまで確信を持てなかったのは悔しいですが――なんで咲桜を抱き寄せてるのかとか学校と顔を変えているのかとか気にしないんでさあ俺に写真を撮らせてください!」
「………」
意味がわからなかった。
なにを言っているんだこいつは。
「……咲桜、これはどういうことだ……?」
ここが学校であることが、混乱に負けた。
咲桜は頭を抱えて俯いたまま微動だにしない。
「……すいません……頼は異様な芸術家体質なんです……」
「……芸術家?」
胡乱に返すと、日義が割って入った。