「……頼を止めるしかないのかな」
手っ取り早い最終手段だ。
この十年かかっても無理だったことだけど、今はそうするしか思いつく解決方法もない。笑満は大きく肯いた。
「それならあたしも手伝うから、不用意に行動しないでよ? それからね、咲桜。もしかしたら心配してるかもしれないから言うけど」
笑満は膝を折って、椅子に座る私に目線を合わせて来た。真っ直ぐ正面から捉えてくる。
「咲桜は、流夜くんにこのことを言わなかったりすることで、嫌われるっていう心配はしなくていいと思う」
「………」
「愛されてんだよ、かなりね」
にっかり、笑って笑満は言った。
「……嫌われ……」
心配、していた。流夜くんに愛想をつかされてしまうのではないか。
私が自分を信用していないのだと見捨てられてしまうのではないか。
……不安だった。
「このくらいで咲桜を嫌う様な薄い愛情の人に、あたしの大事な咲桜をあげるわけないでしょ? 心配すんなって」
ばしっと肩を叩かれて、笑満の言葉は真実のように響く。
そうだといいな……違う、そうなんだと、流夜くんを信じたい。
「ありがと」
「うん。……とりあえず、今日はあたしと行動一緒ね。一人になっちゃダメだよ。クラスの瞳も、今は気を付けた方がいい」
笑満は真剣に言葉する。
……哀しいことに、笑満は用心深い性格にならざるを得なかった過去がある。
それが遙音先輩に起因するとは最近知ったばかりなんだけど。
「……ありがと。笑満大すき」
「任せなさい」
親友は、不安を吹き飛ばすように強い笑顔を見せてくれた。