「………」

桜は自分で月は流夜くん、とは、照れて言えなかった。けれどなんかわかった顔を笑満はしている。

笑満はかなり聡いから、流夜くんの考えも読まれたかもしれない。

「流夜くんも可愛いことするねえ。咲桜にすごく似合ってるよ」

ほっこりと笑顔を見せてくれたことで、自分がこれをつけていいと言ってもらえたみたいで嬉しくなる。

「うん……たからもの」

「だよねえ。遙音くんに教えなきゃ」

「……またからかうネタにする気?」

先輩は流夜くんをからかったりするのが大すきなようだ。流夜くん側である私は渋面になる。

「勿論。あたしは咲桜の味方だけど、流夜くんの味方じゃなくて遙音くんの友達だから」

「……笑満も線引きしっかりしてるね」

「まあねー。人間不信なんてやれば、このくらいにはなるよ」

「………」

人間不信。今は明るい笑満だけど、友人関係を築くのは苦手だった。

だからこそ、小学校時代にあまりクラスメイトに近くなかった私の友達になったとも言える。

理由は、笑満の口から聞いたことはない。いつか話すね、そうとだけ過去に約束されて。

「……ね、咲桜。今度あたしとデートしようよ。また流夜くんとデートするんでしょ? 服選んであげるよ」

「うん。いい?」

「いいよー。……そんでさ、ちょっと、あたしの過去バナシ聞いてよ」

どこか苦しさの見える笑顔だった。私は大きく肯く。

「もちろん」

笑満の時間は急激に動き出したように感じる。きっかけは先輩で。

流夜くんが私の一生の人なら、笑満は一生の親友だ。

――たとえ進むべき道が別たれても、ずっと離れることはないと思うんだ。