「箏子のばあさんがどう判断するかは知んねーけどな。夜々子送り込む可能性もあるし」
「……それだったらまだ……」
「でも女二人には変わりねえよな」
「……くっ……」
「だからさっさと帰ってやれよ。もう流夜、華取の家にはいねえみたいだからよ。娘ちゃん一人じゃ淋しいだろ」
「………」
「大体、おめーが娘ちゃんにここの出入りゆるさねーから流夜が先に連れて来ちまったじゃねえか」
「……流夜くん」
「どっちかっつーと流夜よりお前の責任な気がするけどな」
ほらよ、とカップとソーサを置く。
「……龍生、丸くなったよな」
「あ?」
「性格が、だよ。こんなことでうじうじしてたら、昔は俺のこと殴って追い返してただろ」
「……今もぶっ飛ばしてーのが九割九分だけどな。でも、ま。俺も護るモン結構あるしな。やたらに暴力しねーよ」
「……吹雪くんが思いっきりそこを継いでしまっただろう」
「過失だ。あれはどっちかっつーと愛子の所為だ」
「愛子ねえ……」
在義はカップに手を添えた。
「いい加減、愛子も俺に構わなくていいのに」
「無理だな。あいつ、未だにお前に恩返しどうの騒いでる。最終目的は夜々子との結婚、だろうな」