噴火しかけたのを心配されつつ、なんとか目的は果たせた。

と言っても、トップスを二着買えただが、新しい世界に踏み入ったようでドキドキする。

昼食は混む時間を避けて少し遅めにした。

ショッピングセンター近くのカフェで食事を終えると、帰ってからの在義父さんへの話になった。

流夜くんは、咲桜は心配しなくていいから、と言い張るけど、やっぱり心配にはなる。

流夜くんと親しくなることを反対されてはいないけど、『彼氏』という存在に認めてくれるかどうか……。

「と、とあえず、今日は遅くはならないって言ってたから、流夜くんも一緒に行くことを伝えておくね」

スマホを取りだし、在義父さんにメッセージを送る。

いつ仕事の時間になるかもわからない父さんなので、基本的に私からメッセージをいれておいて、それに対して在義父さんから電話がかかってくるのがいつもだった。

私が出られないときは、留守電にメッセージが入っている。

「……咲桜、朝間先生には話しておいてもいいか?」

メッセージを打ち終えた私は、流夜くんの提案にびっくりしてしまった。

「夜々さん? ……えと、それは……」

嫌な汗が伝う。

お隣のお姉さんにして在義父さんの幼馴染である朝間夜々子さん。

私は母のように慕っているけど、夜々さんはこと、流夜くんの存在を気に入らないみたいだ。

藤城学園で養護教諭をしているから流夜くんとは同僚で、流夜くんイコール神宮先生だとも知っている。

今は、在義父さん――夜々さんは『在義兄さん』と呼ぶ――の言いつけで流夜くんのことをばらさないと言っていたそうだが、二人の関係も含め、ばれるきっかけの危険性が一番高いのは夜々さんだった。

その、夜々さんに?

「……夜々さん相手だったら喧嘩売るようなもんだよ?」

「そのつもりだ。朝間先生には、宣戦布告――しておかないと、と思ってな」

「なんでそんな喧嘩腰なの!」

宣戦布告って!

「個人的な事情だ」

「……私が訊いてはダメ?」

流夜くんは結構開けっ広げに話してくれる。

けれど駄目なところは話さない。

しっかり線を引いてくれるのは、これ以上は駄目なんだとわかりやりやいけど、淋しくもある。