「一緒に死んであげようか」

 驚く僕に、君は言った。
 僕は死にたいなんて、一言も言っていないのに。

「私も、死んじゃおうかなって」

 そう呟いた彼女の瞳は、底なしの宇宙かのように暗く、油断すると吸い込まれてしまいそうで…、何も言えないでいる僕に、彼女は構わず続ける。

「でも、一人だと怖いから」

 風が、強く吹いて僕と彼女の間を駆けていく。

「ねぇ」

 乱れる黒髪を手で押さえながら、彼女は訴えた。

「一緒に、死のうか」

 真っすぐに僕を見て笑ったこの時の泣き笑いのような顔を、僕は多分一生忘れないーー