冠婚葬祭でしか会わない友達なんてフレーズがあるけれど、まどかは年に1度の祭りやお正月はおろか成人式にすら帰って来なかった。まどかと会うのは19歳の秋以来5年ぶりだ。

 私たちが所属していた科学部唯一の先輩だった佐藤先輩の結婚式の帰り道、先ほどまで祝いの場に同席していたとは思えないほど気まずい空気が流れる。まどかは私の1番の親友だったはずなのに、高校時代の色恋沙汰が尾を引いてうまく話せない。

「佐藤先輩の奥さん綺麗だったね。変な意味じゃなくて」

「そうだね」

 まどかが何度か話題を振ってくれているけれど、私はまどかにどう接していいか分からない。

 マンモス校では共通の知人はたくさんいても、結婚式に呼ぶほどの仲の共通の友人はできにくい。引っ込み思案な私も、浮世離れしていたまどかも友達が多い方ではなかったのでなおさらだ。

 佐藤先輩以外に共通の友人がいない私たちは、今日が終わればもう会うことはないのかもしれない。

「あのさ、みちる」

 いつもふざけてばかりだったまどかが真剣な表情をする。

「あたし、明日からフランスに行くんだ」