マルグリットはグランドホーンと向かい合うと相手も何かを感じ取っているのか、無暗に突っ込んで来ようとしない。
 
「一発でも直撃したら致命傷コースだわ。気をつけないと」
 
 間合いをお互い計っている最中にはマルグリットはどの様に立ち回るかを考えていた。
 
 グランドホーンは大型の四足獣で特徴としてはどしっとした体格に巨大な枝角を生やしている。
 
 また、体格に似つかわしくない細長い尻尾を有している。全長と同等程の長さはありそうな尻尾はまるで鞭の様に撓っている。
 
「どこから行くか……ヨシッ」
 
 時計回りで側面から攻めに行くマルグリットに待ってましたと言わんばかりに鞭の様にしなる尻尾が飛んできた。
 
「チッ」

 致命傷を受けない様に回避しようとするが、縦や横からと様々な角度から襲ってくる尻尾から全てを躱しきれずに何発か受けてしまうもなんとか腹の下に潜り込むことに成功する。
 
「食らいなさい」
 
 剝き出しのお腹に拳と蹴りの連撃を加えると、ダメージが入ってるのか嫌がっているのかグランドホーンはまるでロデオの様に全身運動でマルグリットを腹の下から追い出そうとしている。
 
 一旦体制を立て直そうと、腹の下から側面に退避したマルグリットに飛んできた尻尾が直撃するが、尻尾にこれ以上叩かれない様にダメージ覚悟で掴むことに成功した。
 
 グランドホーンは顔を低く下げ、マルグリットが腹の下に潜ることを警戒しているようだ。
 
「やってくれたわねえええええ」

 尻尾を掴んでがら空きになった側面に助走をつけて思い切り飛び蹴りをぶちかますと、グランドホーンは一瞬よろける隙を見逃さなかったマルグリットは側面から再度攻撃すると見せかけて一気に跳躍して背中に飛び乗った。
 
 そこから一気に後頭部に向かって一直線に走り出す。
 
「これで倒れなさい」

 後頭部に拳で数発入れると、頭を思い切り揺らしてマルグリットを振り落とそうとしている。バランスを崩す前に跳躍していったん離れそうとするが、その隙を逃さなかったのかマルグリットが空中にいる状態でグランドホーンは咆哮を仕掛けて来た。
 
「ヴオ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛」