あれ? この二人がここにいるってことは、まさかギルドの監視員?
 
 事情を聞こうと二人の表情を見るが、呆然した表情をしている。視線は私を追っているようなので意識はあるっぽい。
 
「ルーシィさん、チェスカさん、お久しぶりですね。生きてますかー?」

 私は正気に戻す為、二人に一発ずつ軽くビンタを頬に見舞った。
 
「ハッ、え?マルミーヌちゃん……本物? 今度こそ本当の天使のお迎えが来たのかと思っちゃった」
 
「マルミーヌちゃん! 待ってた。人類側の異常個体」

 誰が異常個体なのよ。そりゃ普通の六歳ではない自覚はあるけど、あんな巨大生物と一緒くたにしないでほしい。

 どんなに死にかけても、どんな状況でもこのマイペースな二人のメンタルこそが異常個体扱いしていいのでは?
 
 羨ましいなとは思いつつも、二人の行動は真似したいは全く思わない。
 
 二人のやり取りを見てると、ついさっきまで震えていた自分が馬鹿らしく感じてしまうし、気分も落ち着いてきた。

「すみませんが、ここからは本気で行くので三人を見ている余裕はないと思います。ここから離れて貰えますか?」

 弟君の方を見ると気を失っているようだった。

「ごめん、腰抜けて立てない」

 ルーシィさんは余裕はありそうだけど、咆哮の影響がまだ残っているみたい。
 
「チェスカさんはどうですか?」

「なんとか立てそう」

 チェスカさんは足を震わせているが、なんとか踏ん張って立ち上がった。
 
「チェスカさん、二人を担ぐのは無理だと思うので、安全範囲まで引きずってもらえます?」

「わかった。マルミーヌちゃん、勝ってね」

「はい」



 私は三人に被害がいかない様に場所を移動してグランドホーンと向かい合う。

「待たせたわね、では始めましょうか」

















「ルーシィ重っ、ちょっとは痩せてよ」

「チェスカアアアアアアアアアアアアア、アンタ言っちゃいけない事を言ったわねええええええ。アンタこそ、酒の飲みすぎで腹の肉が手のひらで思いっきり掴めるわよ!オラア」


「あの…… 気が抜けるので、もう少し離れてからやって貰えますか?」