「今後は弟さんが誘拐でもされたのかしら?」
「いえ、違うんです。多分街の外に出ちゃった可能性があって……」
「街の外? 言い切れるということは見当がついているという事かしら? であれば事情を話してもらえるかしら?」
少女は神妙な面持ちでポツリポツリと話し始めた
「実は祖母が前々から慢性的な病にかかってるんです。しばらくは下級回復薬でなんとか体調維持はしていたんですが、今日の明け方に急に容体が悪化し出して…… やはり根絶治療しないとダメみたいなんです。その薬があまりにも高価でうちの家計では到底手が出せる金額ではありません。その最たる要因となっている素材がとある魔獣の角なんです」
「とある魔獣?」
「グランドホーンです」
まさか、ここでその名前を耳にするとは思ってもいなかった。
私はその魔獣の名前を聞いた瞬間に背筋が凍っていくのが自分で解った。心なしか息も荒くなって来ているのが自分でもわかるほどだ。
それもそのはず、グランドホーンとは前回の人生の冒険者活動で死にかける寸前まで私を追い込んでくれた魔獣の名前である。
当時学園に通っていた貴族令嬢が冒険者の真似事をするなど嘲笑の対象でしかなかった。
しかし、フィルミーヌ様の剣となるべく自分が強くなるための手段として使えるものはなんでも使った。
冒険者活動はその一環だ。気が付いた時には学園に通う貴族令嬢として初のソロでDランクを達成した。
この事実は学園にすぐに広まり、フィルミーヌ様もイザベラも喜んでくれたし、嘲笑していた令嬢達も絡んでこなくなった。
その時から私は調子に乗っていたんだと思う。CランクどころかBランクも夢じゃないなど考えていた。
ところが現実はそんな甘いものではなかった。書籍で良くありがちなフレーズの様に『〇〇で世界最強』なんてものは存在しない。
よせばいいのにランク上位の魔獣討伐をソロで行う気満々で、受付のお姉さんには散々止められたはずだったのに受けてしまったのだ。
元々グランドホーンの名前は知っていた。魔獣図鑑とか読むのも好きだったから。
殺気を向けると執拗に追ってくるなどといった性質に関しても勿論知っていた。
「いえ、違うんです。多分街の外に出ちゃった可能性があって……」
「街の外? 言い切れるということは見当がついているという事かしら? であれば事情を話してもらえるかしら?」
少女は神妙な面持ちでポツリポツリと話し始めた
「実は祖母が前々から慢性的な病にかかってるんです。しばらくは下級回復薬でなんとか体調維持はしていたんですが、今日の明け方に急に容体が悪化し出して…… やはり根絶治療しないとダメみたいなんです。その薬があまりにも高価でうちの家計では到底手が出せる金額ではありません。その最たる要因となっている素材がとある魔獣の角なんです」
「とある魔獣?」
「グランドホーンです」
まさか、ここでその名前を耳にするとは思ってもいなかった。
私はその魔獣の名前を聞いた瞬間に背筋が凍っていくのが自分で解った。心なしか息も荒くなって来ているのが自分でもわかるほどだ。
それもそのはず、グランドホーンとは前回の人生の冒険者活動で死にかける寸前まで私を追い込んでくれた魔獣の名前である。
当時学園に通っていた貴族令嬢が冒険者の真似事をするなど嘲笑の対象でしかなかった。
しかし、フィルミーヌ様の剣となるべく自分が強くなるための手段として使えるものはなんでも使った。
冒険者活動はその一環だ。気が付いた時には学園に通う貴族令嬢として初のソロでDランクを達成した。
この事実は学園にすぐに広まり、フィルミーヌ様もイザベラも喜んでくれたし、嘲笑していた令嬢達も絡んでこなくなった。
その時から私は調子に乗っていたんだと思う。CランクどころかBランクも夢じゃないなど考えていた。
ところが現実はそんな甘いものではなかった。書籍で良くありがちなフレーズの様に『〇〇で世界最強』なんてものは存在しない。
よせばいいのにランク上位の魔獣討伐をソロで行う気満々で、受付のお姉さんには散々止められたはずだったのに受けてしまったのだ。
元々グランドホーンの名前は知っていた。魔獣図鑑とか読むのも好きだったから。
殺気を向けると執拗に追ってくるなどといった性質に関しても勿論知っていた。