あれから四日が経過した。お父さまの前でやらかしてしまったせいか、何も手につかない。
 
 自分が如何に小心者であったかをこれでもかというほどに思い知る。
 
 訓練しようにもそんな気分じゃないし、時間は刻一刻と迫ってるのに気分も上がらない。本を読む気分でもない。

「時間は有限なんだからやる気見せなよ、マルグリットぉ」

 自室のベッドの上でゴロゴロしながら、やる気を無理にでも出そうと声を出して自分を奮い立たせようとする。
 
「本当ですよ、お嬢様」

「ぎぇっ!」

 まじでビックリした。心臓がバクバク言ってる。ナナがこんな近くに来ていることにも気付いてなかったとは迂闊にも程がある。
 
「何が『ぎえっ』ですか。その様な淑女にあるまじき台詞が出るようですと奥様に報告せねばなりません」

 ナナが腰に手を当て、頬を膨らませたお説教モードでにじり寄ってくる。

 別の意味で『ぎえっ』だよ、それは! お母さまの淑女教育が前倒しにされて始まってしまう。一番避けなければならない事態。
 
「わかったわ! 起きます」

 私は急いでベッドから飛び起きる。これからどうしようかと考えていた矢先、ナナが口を開いた
 
「そういえば、ガルガダでヴェルキオラ教の教会建設が始まったみたいですよぉ」

 でた! あいつら街に教会建設すると不思議なくらいの勢いで信徒増やすと聞いたことがある。ゴキ〇リかな?
 
 一体どんな手を使ってるのやら……。

 あっ、今ピーンと閃いちゃったよ。
 
「ナナ、ガルガダに行くわよ! あいつ等が何をしでかすのかこの目で見てやるのよ」

「しでかすって…… 悪人と決めつけるような言い方は良くないですよぉ」

「そうと決まったら早速準備するわ。ナナも支度をして来て頂戴」

「かしこまりましたぁ」




◇ ◇ ◇ ◇ ◇ 




 ガルガダに着いた私たちは街の入り口付近で馬車から降りて、散歩をしながらヴェルキオラ教教会の建設場所を探すことにした。
 
「お嬢様、衛兵さんなら場所を知ってるんじゃないでしょうか? 聞かなくてもよかったのですか?」
 
「馬車には家紋が付いているわ。その状態でヴェルキオラ教の事を聞くだなんて信徒ですと言っている様なものよ」

「なるほどです。お嬢様はヴェルキオラ教がお嫌いなんですか?」

 うーん、改めて聞かれると難しいわね。