私からすれば自分たちの対抗派閥が現れたくらいで他人を『背信者』だの『邪教徒』と宣う、あなたたちヴェルキオラ教の方がよっぽど邪教だよ。まあ、そんなことを口にでもしようものなら何をされるかわかったもんじゃないから言いませんけど。
 
 困っている人に寄り添い、無償で食料提供や治療を行う聖王教、困っている人から寄付と称して財産を巻き上げ多少の食糧提供と治療を行うヴェルキオラ教。
 
 ここだけ抜き出せば、そりゃみんなが聖王教だよねというに決まってる。
 
 だが、世の中は正義と優しさだけで生きていけるほど甘くはない。聖王教はその性格故、常に資金不足に悩まされている。
 
 そしてヴェルキオラ教は資金が潤沢なため、生活に困ることがない。それは両教会が運営している孤児院にも結果として現れている。
 
 親もなく、明日も生きることができるかわからない子供たちに倫理や道徳などは通用しない。彼等、彼女等は今を生きることが全てだから……
 
 そんな子供たちは貧困な生活と裕福な生活を選択させるとした場合、子供たちはどちらを選ぶでしょうか? そしてどちらに忠誠を誓うでしょうか?
 
 これこそがヴェルキオラ教が大陸最大の宗教である所以なのだ。
 
 そしてその資金力を持って国の中枢に入り込もうとしているという噂は前回の人生の時に耳にしたことがある。
 
 もはや、やりたい放題である。

 ねぇ、女神ヴェルキオラ様。もし、あなたが本当に存在するのであれば何故彼らの暴挙をお許しになるのですか?それとも、それがあなたの望んだことなの?
 
 なんてね…… いるかどうかもわからない存在に必死に語りかけるなんて馬鹿げてる。
 
 そんなことわかってるはずなのに…… こういう時に限って思い出してしまう。
 
 本当に神がいるんだとしたら、あの時フィルミーヌ様とイザベラをどうして助けてくださらなかったのですか? 
 
 あの二人は私にとってだけじゃない。この国になくてはならない宝なの。殺されるなんてやっぱり間違ってる!
 
 何故死ななければならなかったの? どうして助けてくれなかったの?